【実写レビュー】α99IIのおすすめ望遠ズームは?”ミノルタ80-200mm F2.8G vs ソニー70-200mm F2.8 G SSM II”(その1)
過去記事でミノルタ80-200mmF2.8Gを実写レビューしました。
関連記事 α99IIで使うミノルタ大三元レンズ実写レビュー(その3:80-200mm F2.8G編)
このレンズの光学系は約30年前の設計でありながら、開放からよく解像する上、コンパクトでAFも速く、ミノルタの銘玉にふさわしいものでした。
一方で、設計が古い分、色収差が目立ち、また動体を追うには現在のSSMレンズには及びません。
AFについてはSSMと比較できませんが、解像感や収差は現行のレンズとどの程度違いがあるのか、今回はソニー70-200mm F2.8 G SSM II(SAL70200G2)と実写で比較してみたいと思います。
また、過去記事では、動体撮影時のAFや色収差、最短撮影距離にこだわらなければ、現行レンズとの価格差を考えるとミノルタの選択もあり、と書きましたが、実写で比較しながらソニー70-200mm F2.8 G SSM II(SAL70200G2)もレビューしたいと思います。
今回は、その1として「比較編」を、次回はその2として「ソニーレビューとまとめ編」をお送りします。
基本スペックの比較
まずは、過去記事でも掲載した表ですが、基本スペックを比較しておきます。
ミノルタ 80-200mm F2.8G |
ソニー 70-200mm F2.8 G SSM II |
|
レンズ構成 | 13群16枚 | 16群19枚 |
最短撮影距離 | 1.8m | 1.2m |
最大撮影倍率 | 0.13倍 | 0.21倍 |
フィルター径 | 72mm | 77mm |
大きさ | 最大径φ88.5mm、全長166.5mm | 最大径φ87mm、全長196.5mm |
重さ | 1280g(三脚座付) | 1340g(三脚座別) |
発売 | 1993年3月 | 2013年11月 |
最短撮影距離はソニーの方が0.6m寄れます。
用途によってはこの違いは大きいですね。
重さは、ミノルタの方が60g軽量です。
ミノルタは設計が古いため三脚座が外せないのが残念ですが、手持ちでもそれほど邪魔になりません。
全長は、ミノルタの方が3cm短くてコンパクト。
並べてみると、3cmって実際は結構な違いですね↓
(いずれもプロテクトフィルターを付けています)
フードを取り付けると、ソニーは花形で大型のため、さらに大きさの違いが顕著になります↓
ちなみに、フードはミノルタが金属製で、ソニーがプラ製です。
ソニーはフードがプラのため軽量で、PLフィルター操作用のスライド窓もついて便利ではありますが、大型花形フードのため強度の不安とやはり金属に比べ安っぽさがありますね。
ただし内側が植毛されているのはGOODです(ミノルタは黒塗りのみ)。
レンズの最大径を見ると、ミノルタの方が少し大きいですが、総じてミノルタのコンパクトさが際立っていると思います。
実写比較テスト
実写は、α99IIで、ISO200、マニュアル露出(Mモード)、WBオート、JPEG(FINE)にて撮影したものです。
フォーカスは、AF中央固定で合わせています。
ワイド端(ミノルタ80mm、ソニー70mm)、中間域(135mm)、テレ端(200mm)で、F2.8(開放)、F5.6、F11における遠景の中央部(ピント位置)・周辺部の画像について、Adobe Lightroomで等倍表示にしたものを掲載します。
また、最後に色収差についても等倍表示で比較します。
※撮影中、雲の影響で日差しが出たり隠れたりしたため、光の条件が少し異なる場合があります。
ワイド端(ミノルタ80mm、ソニー70mm)
ワイド端について、全体表示は↑のような画像になります。
焦点距離の通り、ソニーの方がややワイドですね。
それでは、F2.8(開放)、F5.6、F11における中央部(ピント位置)・周辺部(右下)の画像をそれぞれ等倍表示にしてみます。
ワイド端の中央部(ピント位置)
F2.8(開放)ではソニーの方が解像しています。
そもそも、ソニーは絞りによる変化が見られず、開放から極めて解像感の高い描写であることがわかります。
ミノルタは、F2.8でわずかに甘さがありますが、十分実用レベルでしょう。
ワイド端の周辺部(右下)
周辺部は、F2.8とF5.6でミノルタの方が甘さがやや目立ちます。
ソニーは、比較的良好ですね。
中間域(135mm)
中間域(135mm)における全体表示は↑のような画像になります。
F2.8(開放)、F5.6、F11における中央部(ピント位置)・周辺部(右下)の画像をそれぞれ等倍表示にしてみます。
中間域の中央部(ピント位置)
F2.8では、ミノルタの方が収差で甘くなっていますが、F5.6、F11では違いは見られません。
中間域の周辺部(右下)
いずれの絞り値でもソニーの方が解像していますが、ミノルタも素直な描写で悪くはないですね。
テレ端(200mm)
テレ端(200mm)における全体表示は↑のような画像になります。
F2.8(開放)、F5.6、F11における中央部(ピント位置)・周辺部(右下)の画像をそれぞれ等倍表示にしてみます。
テレ端の中央部(ピント位置)
これまでと同様、F2.8ではミノルタの方が収差で少し甘くなっていますが、F5.6、F11では違いは見られません。
ソニーもF2.8ではわずかに甘さが見られます。
テレ端の周辺部(右下)
F2.8では、ソニーの方が周辺部の乱れが大きくなっていますね。
また、ミノルタはF11に絞っても周辺部があまり解像しない結果となりました。
色収差
色収差については、99IIのレンズ補正を「オート」にした状態で、200mm/F11のときの画像で、周辺部(左上)を等倍表示にして比較してみます。
ソニーのレンズにはレンズ補正が効きますが、ミノルタには効きません。
ミノルタには紫と緑の色収差が見られますが、ソニーにはほとんど見られません。
では、ソニーは99IIのレンズ補正の効果によるものなのでしょうか?
気になったので、レンズ補正を「切」と「オート」で比較しみました。
レンズ補正を「切」にした場合、ミノルタと同様、やはり紫と緑の色収差が見られます。
ソニーは、99IIのレンズ補正の効果により色収差が目立たなくなっていたということですね。
色収差は、PC上でソフト(例えばAdobe Lightroom)を使って目立たなくすることもできますが、99IIのレンズ補正は優秀で十分な効果があると言えそうです。
関連記事 Lightroomのフリンジ軽減で色収差(パープルフリンジ)を簡単に消してみよう
今回のまとめ
ミノルタとソニーの描写について、中央部(ピント位置)と周辺部(右下)で比較してみました。
ソニーはF2.8(開放)からピント位置は非常に解像感の高い描写をし、周辺部も良好。
(ただし200mm/F2.8のときは周辺部の乱れが見られた)
まさに優等生という感じのレンズです。
一方、ミノルタは、ソニーと比較するとF2.8では収差で少し甘い傾向がありますが、F5.6やF11では違いはほとんどなく、99IIのような高画素機でも十分な解像感があります。
一方、周辺部については、全体的に甘さが目立つ結果となりました。
ミノルタは、私のこれまでの使用感(主に子供の撮影)から、収差を残したやわらかなボケ味と素直な描写が印象的で、それがこのレンズの魅力と思います。
色収差は、99IIのレンズ補正が効くソニーではほとんど見られない結果となりました。
(レンズ補正がなければミノルタもソニーも色収差が見られる)
次回は、その2として「ソニーレビューとまとめ編」です。
こちらの記事もぜひご覧ください↓
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