2017年1月 冬のやんばるの森
先週、今週と久しぶりにやんばるの森の林道に行ってきました。
まだ1月ですが、冬の繁殖期を迎えている両生類をはじめ、たくさんの生き物を見ることができました。
夜の森の林道で生き物観察
たまに小雨の降る夜の森。
気温は17~18℃。
この時期としては、ベストコンディションです。
濡れた路面には、繁殖期を迎えたたくさんのカエルたちがお出迎えです。
ハナサキガエル
最も多かったのはハナサキガエル。やんばる固有種です。
繁殖期は1月で、渓流の滝壺などに集まり産卵します。
やんばるの中でも場所によって産卵のタイミングが異なるようで、今回行った場所ではちょうどこれからなのか、丸々としたメスも多く見られました。
個体によって、茶色、緑色、茶に緑が入る中間的な模様など、体の色、模様は様々です。
リュウキュウアカガエル
こちらも冬(12月頃)に繁殖するカエル。
小型であまり目立たないせいか、見る機会はハナサキガエルほど多くありません。
赤みが弱い、茶色の個体も見られます。
ホルストガエル
繁殖期は夏で、冬はあまり見られません。
今回は、まだ若い小型の個体を見ることができました。
オキナワアオガエル
冬から早春に繁殖するカエルです。
低地から山地まで幅広く生息しています。
池などの水辺の周りでは、この時期たくさんの鳴き声が聞こえてきますよ。
林道にもたくさん出てきています。
イボイモリ
イボイモリは原始的なイモリの仲間で、繁殖期は冬~春。
繁殖期以外はあまり動かないのか、見る機会は多くありません。
逆に繁殖期に入る12月~3月頃は、活発に動くようで林道でも見られます。
なぜか畑の近くにも多いです。
イボイモリを見るなら冬がおススメです!
シリケンイモリ
こちらも冬から夏頃にかけて繁殖するイモリです。
やんばるでは、あちこちで見かけるおなじみのイモリですね。
この日は、お腹がパンパンのメスに出会いました。
ヒメハブ
やんばるの冬のヘビと言えば、ヒメハブですね。
冬に繁殖に集まるカエルを狙って、寒い夜にも出てきます。
気づかずに踏まないよう、要注意!
ハブ
ハブは、冬の夜に見ることはあまりありませんが、この日は複数のハブを見ました。
1月の夜にこんなに見るのは初めてです。
リュウキュウオオコノハズク
真っ赤な目のリュウキュウオオコノハズクです。
普段は、黄色い目のリュウキュウコノハズクを見る機会が多いのですが、この日は、リュウキュウオオコノハズクが2回出てくれました。
ヤマシギ
冬の夜の定番の鳥です。
沖縄には冬鳥として渡ってきます。
森林性ですが、開けた草地などでもよく見かけます。
近縁のアマミヤマシギも見られましたが、撮る前に飛ばれてしまいました。
ケブカコフキコガネ
真冬の夜に成虫が見られる、ちょっと不思議なコガネムシです。
しかも、2年に一度で、今冬がそれに当たります。
場所によっては、車にパシパシ当たるほど、オスが飛んできます。
この日は雨の中、数は多くないもののやはりブンブン飛んでいました。
変なやつですね。
やんばるはカンヒザクラが満開
沖縄の桜と言えば、カンヒザクラですね。
北から南、山から里の順に咲いていきます(桜は寒さを経験することで休眠から覚め、開花が促進されるためです)。
そのため、やんばるの森では他よりも早く咲き、もうほぼ満開ですね。
中国南部~台湾が原産で、沖縄のものは植えられたものですが、野生化もしています。
やんばるの森で見ると、日本人の性でしょうか、思わずレンズを向けてしまいます。
県道2号を走っていると、いつの間にか、こんな道路標識が!
大宜味村の塩屋湾を国頭方面にわたる橋にも設置されていました。
まとめ
沖縄とは言え、まだまだ寒い1月ですが、条件の良い日には夜の森でたくさんの生き物を観察することができます。
イボイモリのように、むしろ冬の方が繁殖期を迎えて観察しやすい種もいます。
今回は見られませんでしたが、やはり冬に繁殖するオキナワイシカワガエルの鳴き声があちこちの沢から聞かれました。
冬のやんばるの森も魅力たっぷりです。
今回の撮影機材は、イボイモリとケブカコフキコガネを除き、すべてα99II+SONY 70-300/4.5-5.6GIIです。
参考のため、トリミングはしていません。また、フルサイズでの撮影です。
今回感じたことは、フルサイズでは小型のカエルにはもう少し撮影倍率が欲しく、また突然鳥が出ることもあるので、記録用の撮影としては積極的にAPS-Cモード(1,800万画素にクロップ)を使うのが良い、ということです。
すばやく反応してシャッターを切らなければならないことも多いので、常時APS-Cモードでも良いかもしれません。