α99IIで使うミノルタ大三元レンズ実写レビュー(その1:17-35mm F3.5G編)
α99II(ソニーデジタル一眼カメラ)では、ミノルタレンズも最新の4240万画素センサーで使えるわけですから、ミノルタのレンズ資産がある方にとってはα99IIは大変魅力的なカメラですね。
しかも、画質だけでなく、AF性能もAマウント史上最速。
まるで昔のレンズが蘇ったかのように、いやレンズ性能がフルに発揮できるのをレンズが喜んでいるかのように、そんな感じすらします。
とは言え、ミノルタレンズは20年も前のフィルム時代のもの。
実際に4240万画素センサーでしっかり解像できるのか、色収差はどうか、など気になるところです。
そこで、私が所有するミノルタ大三元レンズで簡単な実写テストを行い、使用感をレポートしたいと思います。
レンズは、17-35mmF3.5G、28-70mmF2.8G、80-200mmF2.8G。
実際にこれらのレンズを使用する方の参考になれば幸いです。
今回は、17-35mmF3.5Gについてレポートします。
ミノルタ AFズーム17-35mm F3.5G スペック
まずは、基本スペックから。
参考として、現行のソニー純正レンズとも比較してみたいと思います。
ミノルタ 17-35mm F3.5G |
ソニー Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II |
|
レンズ構成 | 12群15枚 | 13群17枚 |
最短撮影距離 | 0.3m | 0.28m |
最大撮影倍率 | 0.17倍 | 0.24倍 |
フィルター径 | 77mm | 77mm |
大きさ | 最大径φ82.5mm、全長90.5mm | 最大径φ83mm、全長114mm |
重さ | 600g | 872g |
発売 | 1997年6月 | 2015年6月 |
ミノルタの17-35/3.5Gは、描写性能を優先して解放F値を2.8ではなく3.5としたのは有名な話ですね。
そのおかげか、現行のソニーレンズに比べ、一回りコンパクトで重さも約2/3と軽いことがわかります。
実写テスト
実写は、α99IIで、ISO200、絞り優先オート(Aモード)、JPEG(FINE)にて撮影したものです。
フォーカスは、AFで中央固定で合わせています。
広角端(17mm)、望遠端(35mm)で、F3.5(開放)、F5.6、F11における中央部と周辺部の画像について、Adobe Lightroomで等倍表示にしたものを掲載します。
広角端(17mm)
まずは、広角端(17mm)について、全体表示では↑のような画像です。
F3.5(開放)、F5.6、F11における中央部と周辺部(左下)をそれぞれ等倍表示にしてみます。
広角端(17mm)の中央部
広角端(17mm)における中央部の描写は、開放F3.5では若干解像が甘く、わずかに色収差も出ていますが、実用範囲でしょう。
F5.6では十分な描写ですね。
広角端(17mm)の周辺部(左下)
広角端(17mm)における周辺部(左下)の描写は、周辺減光により少し暗くなっていますが、像の流れはなく17mmとしては優秀ですね。
F5.6では、周辺減光はほとんど解消されます。
望遠端(35mm)
続いて、望遠端(35mm)について、全体表示では↑のような画像です。
広角端(17mm)と同様、F3.5(開放)、F5.6、F11における中央部と周辺部(左下)をそれぞれ等倍表示にしてみます。
望遠端(35mm)の中央部
望遠端(35mm)における中央部の描写は、広角端(17mm)と同様、開放F3.5では解像の甘さとわずかな色収差がありますが、F5.6からは十分な描写になります。
望遠端(35mm)の周辺部
望遠端(35mm)における周辺部の描写は、開放F3.5で少し周辺減光が見られます。
また、岩の縁に緑系の色収差がわずかに出ているのがわかります。
F11に絞っても改善されていませんね。
【色収差について】
色収差には、絞ると改善されることが多い「軸上色収差」と、絞っても改善されない「倍率色収差」があります。
白い空を背景に木を下から撮ると葉の縁に紫色が出ることがありますが、これは「パープルフリンジ」とも呼ばれ、軸上色収差に起因する場合が多いとされています。
作例
※Adobe Lightroomで補正しています。
使用感とまとめ
ミノルタ17-35mm F3.5Gは、超広角ズームでありながら歪曲収差が少なく、軽量コンパクトでどの焦点域でも安心して使える、非常に使いやすいレンズです。
また、ミノルタレンズとしてはコントラストが高めで、特に風景写真などで活躍してくれますね。
描写はF8~F11で周辺部までしっかり解像してくれます。
色収差に関しては、20年前のレンズですからある程度は仕方ないでしょう。
今はPC上で補正できるのであまり気になりませんが、状況によっては結構盛大に出ることがあります。
オススメ! Lightroomのフリンジ軽減で色収差(パープルフリンジ)を簡単に消してみよう
このレンズの一番の弱点は、逆光に弱くゴーストが出やすいことです。
上の作例の2枚目でも、灯篭の近くにゴーストが出ていますね。
出そうなところで出なくて、予期せぬところで出てしまうこともあり、クセが掴みにくい感じです。
とは言え、私にとってミノルタ17-35mm F3.5Gはα99IIに不可欠のレンズ。
超広角は使いこなしが難しい反面、人間の視角を大きく超えた遠近感、臨場感を表現できる魅力がありますからね。
α99IIの超広角ズームレンズは、このミノルタ17-35mm F3.5Gか、ソニーVario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM IIか?
(逆光耐性や色収差は許容して)軽量コンパクトで使い勝手を優先するならミノルタ、(予算が許せて)大きく重くなってもトータルで光学性能を優先するならソニー、と検討されてはいかがでしょうか?
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