やんばる最強?ひっつきむし「ササクサ」に冬はご注意!
ひっつきむし、そう秋に野山に行くと服などにひっつく種です。
本土では、オナモミなどが有名でしょうか?
沖縄では、ひっつきむしとは言わないようですが、そこら中に大量に生えているタチアワユキセンダングサ(外来種)のことを「サシグサ」と呼んでいます。
センダングサの種も「ひっつきむし」として有名ですからね。
種が服などに”刺さる”ようにひっついてきます。だから「サシグサ」。
さて、やんばるの森では、ひっつきむしと言えば「ササクサ」です。
冬は、もう最強の困りもの!
では、一体ササクサとはどんな植物なのでしょうか?
ササクサとは?
ササクサは、葉がササ(笹)に似ていることから名づけられました。
多年生の草で、丈は膝の高さくらい。
少し明るい林縁に生えています。
ひっつきむしなので、動物が通る獣道や登山道の脇などに多いです。
やんばるでは、林道沿いではあまり見たことがなく、林内の道の脇に生えている感じです。
国内では、本州(関東以西)から琉球列島に分布します。
東京出身の私には馴染みがありませんでしたが、やんばるに来てみて、あまりに厄介な最強のひっつきむしに驚かされました。
なぜひっつくの?最強ひっつきむしの秘密とは?
何がそんなに厄介で最強かと言いますと、その構造に秘密があります。
まず、種の先に鉤となる引っかかり部分があるのは、他のひっつきむしと同じ。
これが動物の毛や服などにつくわけですが、問題はその後です。
種は、引っかかり部分を残して、果実部分だけが簡単に脱落する構造になっているんです。
これは種が、引っかかりやすく、しかも落ちて散布されやすいという、ササクサのしたたかな戦略なんですね。
この戦略のおかげで、森の中の明るい道の脇にはササクサ様が大繁茂するというわけ。
しかーし!
人にとっては、厄介極まりないこと!
衣服に着いたササクサの種を取り除こうとするや、果実部分だけが取れて、鉤はそのまま。
これがまたチクチク痛いこと!
今度は、鉤部分を抜こうとするのですが、これがもう小さくてしっかり刺さっているものですから、爪の先で何とかつかんで・・・、うーんと、ってもうイヤだ~!となるわけです。
あなた、普通のズボンで冬のやんばるの森を歩こうものなら、途中でズボンを脱ぎ棄て、パンツ一枚で歩くことになるでしょう。
それでも、今度は容赦なくスネ毛がササクサ様のえじきとなり、チクチクに耐えきれずに道から外れて暗い森の中に逃げ込むことになり、最後はもはや帰る方向もわからず・・・。
あ~、何て恐ろしい植物でしょうか?
「くわばら、くわばら」
最強ひっつきむしの鉤を見た!
もう、こんなによくひっついて取れにくい鉤って、どんななっているのよ?
ということで、デジカメのマクロで撮影して、拡大してみました。
先の部分を切り出して見てみると、うわー、微小な棘が返し状にびっしりと並んでいますね。
はい、参りました、ササクサ様。。。
森に入るときの対策とは?
やんばるの森で、ササクサの種がよくひっつく時期は、11月以降の冬季。
ただし、4月くらいまで枯れた種が残っているので、気になる方は梅雨前くらいまでは要注意です。
って結局半年間もですね。
ということで、冬のやんばるの森に入る際は、ササクサ対策が必須です。
それは、ズボンの上からカッパなどのナイロンパンツを履くこと。
夏場はそんなもの暑くて履けませんが、冬場なら何とかなるでしょう。
第一、無防備にササクサ様のえじきになるよりは、ずっとマシというものです。
つい先日も、カッパを履いて森を歩いたのですが、あれ???
古いカッパではもはや効果半減だったようです(下写真)。
そのまま捨てたくなりましたが、貧乏人なのでまた履きますよ、鉤がびっしり付いたままですが・・・(涙)
観光で来られる方は、いきなり森の中を歩いたりしないと思いますが、ヘビ―リピーターの方で実は冬のやんばるを歩くのは初めて、何ていう方は、くれぐれもお気を付けくださいませ。